第2回 アドリブ論/ジャズの基本Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ

今回のテーマはズバリ

Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ(トゥーファイブワン)です。

前回はコード(和音)とスケール(音階)とは同一のものをそれぞれ別の形で表現したものに過ぎないと説明しました。

今回はそのコードについてより具体的に説明します。

 

コード(和音)と一口に言っても

 

①複数の音を響かせる

②曲の移り変わりを引率する

③曲全体の骨組みを作る

 

色んな側面で捉えることができます。

 

最も一般的なイメージとして①はコード(和音)を発生させる方法ですね

そのために複数の音を同時に鳴らします。

では②はどういうことなのか?

実は、コードはそれ単体ではあまり意味がないんです。

時間軸的に複数のコードが存在する時にそれらは相互に影響し合います。

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互いに影響し合うコード

ものによっては次の(未来の)コードを聴衆に強く期待させるものもあり

それがドミナント(支配的な)コードと呼ばれるものです。

ちなみに上の譜面で言うとG7と書かれている記号がドミナントです。

 

これはあくまで例えですが、コードとは言うなれば

音楽という大きな水の流れを次にどの道(スケール)を辿るかコントロールするもの

といえるかもしれません

 

続いて③

これはコードが曲の全体の構造を担っているという意味です。

基本的なコード進行、例えば今回の題名にもあるように

Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ(トゥーファイブワン)という基本のコード進行が曲の構成しているという意味です。

 

大学で習ったクラシカルなピアノの授業ではⅡが抜けてⅤ-Ⅰという構造のみで説明がなされていましたが、Vが支配的ということには変わりがないので問題ないです。

(一般教養なので内容は薄めでした)

 ちなみに、多くのジャズ理論書(元々はバークレーメソッドが起源だと思う)には、このドミナント以外にサブドミナントやトニックといった用語が使用されています。ピアノのアドリブを弾けるようになりたいという方は覚えなくても特に問題ないと思います(自分が知らなくとも困っていないので、ただ出てきたときには若干の抵抗を覚えます笑)

また、曲の中でⅡ-Ⅴ-Ⅰとは一見異なる形のもの出てきたとしても、

これらの変形のようなものと思ってもらって構いません。

例えばポップスによく登場するⅣ-Ⅴ-Ⅰというコードがありますが、

コードの音を見るとⅣとⅡはコードのルートを弾いているか、ルートを弾かずに9thを入れているかの違いでしかないからです。(ここの説明はもう少し後にさせていただきます)

まあとにかく、はじめにこれらの基本的なコード進行を弾けるようにするのは重要だと言えます。(特にジャズでは)

 

えーっとここまでⅡ-Ⅴ-Ⅰというコード記号ですら無い、かなり抽象的な説明してきました。

大変失礼いたしました、ここでコード記号とこのⅡ-Ⅴ-Ⅰを結びつきを説明します。

 

結論からいうと三つの記号はそれぞれある性質を持ったコード弾くことを示しています。

前回、説明したようにスケール(音階)とコード(和音)は同一のものを別の視点から見たものだと言いました。ここから考えるとコードを説明する際にスケールを使うのは問題ないかと思います。まずはわかりやすく白鍵のみを扱ういわゆるドレミファソのスケールを考えていきましょう。皆さんが和音と言ってよくイメージされるのはドミソでは無いでしょうか?一度は耳にしたことがあるかもしれません。

ただし、ジャズにおいてはシンプル和音より味のある和音が好まれます。ジャズがポップスと比べて少しちがう印象を持たれる理由の一つがここにあります。

ジャズにおいては、ほとんどのコードで7th(セブンス)が 使用されます。

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ドを基準にとったⅡ-Ⅴ-Ⅰコードの鍵盤表示(黒:Ⅰ 紅:Ⅴ 青:Ⅱ)

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注意する点としては、今回はスケールにCメジャースケール(ハ長調)をとっているということです。メジャースケールは鍵盤の区分の数だけ存在するので、12種類メジャースケールがあるわけです。各スケールにⅡ-Ⅴ-Ⅰがあることを考えると、それぞれのコードも12種類あると言えますね。